『「新宿駅~原宿駅」あたりの時間で読めます!』
みなさん、こんにちは!
暑さが厳しくなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
ビールがおいしい季節となり、居酒屋でワイワイやりながらお酒を飲む機会も増えてきたのではないでしょうか。
私のお気に入りの居酒屋さんには共通点があります。
それは「接客(人)の良さ」です。
お店ごとにスタッフの個性は異なりますが、感じのよい接客という点では共通しています。
一方で、食事やお酒がどんなにおいしくてもスタッフの接客が悪い場合には「二回目はないな」と感じてしまいます。
営業活動でも同じことが言えます。
日ごろの営業を通じて自社や自社製品のことをお客様に好きになってもらい、最終的には常連客になってもらうことが営業の目的です。
自社のサービスや商品が優れていることはもちろん重要な要素ですが、顧客と自社を結びつけているものは営業パーソンに他なりません。
ここに居酒屋との共通点があります。
居酒屋のスタッフを営業パーソンに置き換えてみてください。
自社の顧客を増やすためにはサービスや商品がいくら優秀でもダメで、営業パーソンと顧客とのつながりが大切なのです。
気持ちのよい営業や接客を通じて、顧客はそのお店のファンになっていきます。
お店と顧客との間には、両者を結ぶ「絆」ができていくのです。
「絆」という言葉は、「顧客がそのお店に通いたくなる理由」と言い換えてもよいでしょう。
この「自社と顧客を結ぶ絆」は、専門用語で「エンゲージメント」と呼ばれています。
今回は二つの具体例を取り上げながら、顧客をファンにするエンゲージメントの真髄に迫っていきたいと思います。
目次
手書きメッセージと”昇進制度”でリピート客をつかむ『塚田農場』さん
塚田農場さんは地鶏を使った料理が有名な居酒屋チェーンですが、特筆すべき特徴はそれだけではありません。
例えば、デザートのお皿に手書きのメッセージをチョコレートで書いてくれたり、ゆず胡椒やライスをハートマーク形に盛り付けてくれたりします。
メッセージは定型文ではなく毎回異なるので、サービスを受けたお客様は大喜びです。
このサービスは会社から指示されてやっているのではなく、スタッフ自らが率先してアイデアを出しあいながら行っています。
このスタッフによる自発的な接客がお店の楽しい雰囲気を作り、居心地のよさを醸し出しているのです。
実は、「会社をよくしたい!」というスタッフの気持ちや「会社への愛着心」などもエンゲージメントの一種であり、「従業員エンゲージメント」と呼ばれています。
接客を楽しむスタッフの姿勢にはまさに、スタッフと会社との強い絆が表れていると言えます。
さらに注目すべきは、独自性あふれる「ポイントカード」です。
塚田農場さんのポイントカードは一般的なものとは一味違います。
会計時にお客様のニックネームが書かれた名刺がもらえ、何度も通うと名刺の肩書きが上がっていきます。
主任、課長、部長・・・と昇進していくにつれ、役職相応のサービスを受けられるようになります。
しかも、最後の来店から半年以内に来訪しなければ”リストラ”になり、また最初からやり直しになってしまうというゲーム性も話題を呼んでいます。
地鶏料理のおいしさに加えて、こんなに面白い事があったら何度も通いたくなってしまいますよね。
この仕組みに必要なことはポイントカードとアイデアだけですから、お金がかかっていないところもすごいところです。
このように塚田農場さんは、スタッフと顧客の両面からエンゲージメントを高めることに成功しています。
「スタッフの会社への愛着が気持ちのよい接客を生み、それが結果として顧客を生む」という素晴らしいサイクルがあります。
平均的なリピート率が2割と言われる居酒屋業界にあって、塚田農場さんは5割のリピート率を誇っています。
その裏には、確固たるエンゲージメントを生む独自の仕掛けがあったのです。
顧客の好みを把握することで個別の接客を行う『炎丸酒場 五反田店』さん
次にご紹介する炎丸酒場さんは、来店客のなんと8割がリピート客だと言うのです。
こちらの系列店は「居酒屋甲子園」なる外食業界の大会で優勝した事があり実力も折り紙つきなのですが、人気の秘密は二つのポイントにあります。
まず一つ目が、開店前のロールプレイングによって接客レベルの向上を図っていることです。
居酒屋さんは通常、学生やフリーターなどの若い人たちをスタッフとして雇うことが多くなりますので、スタッフのモチベーションの上げ方や関わり方に悩む経営者は少なくありません。
炎丸酒場さんのスタッフも学生やフリーターが多く、接客レベルを上げる必要性がありました。
そこで実際に接客に関するロールプレイングを行うことによって、接客の大切さや目的をしっかりと意識してもらうことから始めたのです。
ゲーム感覚で接客を学ぶことができるロールプレイングであれば、若いスタッフでも抵抗なく行うことができます。
また、ロールプレイングを行うことが仕組み化されているので、スタッフが入れ替わったとしても接客の質を維持することができます。
そして二つめの特徴が、顧客情報を専用のノートに記載していることです。
お客様の好きな物や嫌いな物、注文した商品などを来店ごとにメモしておくことで、お客様毎に異なる個別のおもてなしや関わり方を実現させています。
自分の事をしっかりと覚えていてくれるお店はなかなかありませんし、自分の好みに合わせた接客をしてもらえる事はやはり嬉しいものですよね。
このような接客やお客様とのコミュニケーションはとても地道なものですが、お客様とのエンゲージメント、すなわち「顧客との絆」をコツコツと追求する事が、リピート客8割という驚くべき数値につながっているのではないでしょうか。
人の心を動かすことがエンゲージメントを高める!
上記の二つの事例から、「スタッフの対応がお客様の心を動かす」という事がよくわかります。
デジタルツールによって効率的なオペレーションを行う事も有効ですが、お客様からの好感を得るためにはスタッフをはじめとした「人のふるまい」が重要なのです。
その姿勢こそが、お客様ひとりひとりと向き合うことを可能にします。
営業の場面においても、フォローを欠かさずにいれば顧客が困った際に相談してくれることがあります。
商品を売るだけが「絆」を生むのではなく、営業パーソンと顧客との間の人間関係の中で「絆」が生まれていくのです。
営業活動においては商品を売り込むことも重要ですが、人の心を動かすためには何が必要なのかをまずは考えてみてください。
それがエンゲージメント向上のカギとなり、結果として、自社との絆が深い顧客を生むことにつながっていきます。