マーケティングオートメーションは数年前に出てきて、
2015年には大きく認知され、今や国内のマーケターやセールスパーソンで
そのワードを聞いたことない人は多くないと思われる。
2016年には更に認知度を上げ導入企業数が増加すると予測されており、
海外でも法人向けサービスを提供する金融機関などでは
3割以上がすでに導入済みという調査結果もあるようだ。
今回は、なぜ企業は今マーケティングをオートメーション化しようとするのか、
マーケティングをオートメーション化することで何が起きるのか、
落とし穴はないのかを考えてみる。
目次
どこで、誰が、いつ、どのように、
何をきっかけに購入するかが予測できない
購買プロセスが時代とともに変化し続けているのは明らかだが、
同時にインターネットの普及とグローバリズムにより、商圏や国境の概念が消えつつある。
昔は営業マンが地域のエリア担当となり顧客を定期訪問(いわゆるご用聞き)して、
タイミングがよければ商談となり、またその情報を個々の営業担当が把握・管理していた。
インターネット普及以降はメルマガやダイレクトメールで
アプローチするのも未だ常套手段として根付いている。
あえてデジタルマーケティングの必要性をここでは深くは語らないが、
誰でも探せる、知れる、買える時代に、国境なき商圏では
誰から興味をもってもらえるのか予測不可能だ。
またその中から購入に至る本当の顧客は誰なのかを特定することは不可能である。
つまりどこにマーケティングコストをかけるべきなのかが判断できないのである。
マーケティングオートメーション導入で
顧客獲得が自動化できるという神話
マーケティングオートメーション導入の狙いは、
マーケティングプロセスのあらゆるタスクを自動化することで効率と効果を最大化することである。
しかしツールのオペレーション上で様々な問題点が指摘されているのも事実。
その問題の多くは「設計と運用」と言われている。
マーケティングオートメーションはリードジェネレーション、
リードナーチャリングを実現するためのあらゆる機能が備わっているため、
設計者は企業の事業やサービスについて深い理解が必要であり、
運用者側はマーケティングオートメーションツールのあらゆる機能について深い知識が必要だ。
アメリカのMarketing intelligence incの調査によると、
マーケティングオートメーション導入企業の大半で、
担当者のスキル開発とトレーニングに投資する必要があると回答しているそうだ。
つまり、マーケティングオートメーションは完全なる自動化ではないことが分かるはずだ。
マーケティングオートメーションは顧客視点ではなく、
完全なサプライヤー都合の仕組み
マーケティングオートメーションが普及することで、買い手側が享受できるメリットは、
興味ある分野の人や情報に出会える機会が増えるという他ないだろう。
価値ある情報を買い手に届け、本当に価値あるサービス・商品を
買い手が効果的に利用することができる仕組みができれば
買い手としても売り手としても嬉しい限りである。
しかし残念ながら世の中には自社にとって価値あるサービスを
しっかりと見極めなければ取り返しがつかない事態に発展してしまうことが少なくない。
そういった意味では、将来購買プロセスやメソッドが多少変化しようとも、
常により多くの情報を集めて精査し、比較検討しなければならず、
その動きは今も昔も、そしてこれからも変わらないし、買い手としての学習が必要である。
まとめ
マーケティングオートメーションはあくまで “ツール” である。
つまりツールを使ってROIを向上させようということだ。
現状のオペレーションで発生する販促コストやマーケティングに関わる人件費などと比較し、
ROIが下がるようであれば全く意味がない。
つまりマーケティングを自動化することが目的ではないということである。
そうならないためにも、マーケティングオートメーションに関わる人が
その役割や機能を深く理解し積極的に関わり学習し、
その企業独自のマーケターとして設計とオペレーションを確立する必要があると言える。
導入するのは簡単だが、導入してすぐに効果が現れるものでもない。
また1日2日で使いこなせるものでもない。
だからこそ、現状はマーケティングツールを提供しているベンダーや、
BtoBマーケティングを強みとするマーケティング支援会社の、
質の高いサポートが必要不可欠であると言える。