カスタマーサクセスは昨今多くの大企業が導入し世間一般に浸透しつつあります。
カスタマーサクセスの導入で顧客とのコミュニケーションが円滑になり、業績向上に期待が持てます。
そのカスタマーサクセスのメリットとデメリットについて詳しく紹介します。
ちなみにカスタマーサクセス自体の詳しい説明は下の記事を見てもらえると幸いです。
カスタマーサクセスとは?重要視される理由とともに分かりやすく解説
目次
カスタマーサクセスを導入するメリット
カスタマーサクセスを導入すると今いる顧客の多くに商品やサービスを使ってもらいながら、新しい顧客を呼び込む派生効果が可能性も出てきます。
カスタマーサクセスでは以下の4つのメリットに大きく分けられます。
- 顧客生涯価値(LTV)の向上
- 解約率(チャーンレート)の低減
- ユーザーからサービス・製品の改善点をヒアリングできる
- ブランドを好きになる顧客の増加
1つずつ解説していきます。
顧客生涯価値(LTV)の向上
LTVとは『Life Time Value』(顧客生涯価値)の略で、顧客が商品やサービスに初めて触ってからどれだけ長く使ったかを指標として現します。
他にも単価や購入頻度、オプションサービスの購入もLTVの向上となります。
長く良い印象を持ったまま利用し続けてくれるために、企業は顧客の悩みの解消や願望へのサポート。また興味や需要を割り出してからのアピールも、カスタマーサクセスでは実現できます。
LTVの向上は会社の収益ともなるので大切な要素の一つです。
新規顧客獲得はコストがかかるので、親しみやすい公式SNSアカウントの発信などで今いる顧客を引き止めます。
もう少し具体的に、例えばジムを運営している企業で考えてみるとします。
顧客には自宅でもできる身体の鍛え方が知りたいと言う心理があるとしたら、自宅用エクササイズの動画配信。さらに顧客一人ひとりにトレーナーがチャットで応答できるように、トレーナーのLINEアカウントを作るなどのカスタマーサクセスで、LTVが向上します。
LTVの計算式は『平均の商品・サービスの値段×継続期間OR平均購買頻度』です。
他にもコストを踏まえた計算式やサブスクリプションの解約率を考慮した式もあるなど、LTVの数値化一つとっても細分化されます。
なお2つの計算式は以下の通りです。
- コスト考慮用『平均単価×購買頻度×継続購買期間‐新規顧客獲得費用+顧客維持費用)』
- サブスプリクション考慮型『顧客一人の平均単価÷解約率』
解約率(チャーンレート)の低減
顧客が商品やサービスに魅力を感じなくなってしまい、継続を終了させてしまう解約率を低下できることも、カスタマーサクセスを導入するメリットです。
解約率の低下は信頼度を上げることが基本です。例えば顧客が行う操作方法の教え方の改善、役立つ機能を紹介してあげるなどの方法が存在します。
また顧客が商品・サービスに飽きさせないように質の向上や、魅力を伝え続ける努力も必要です。
解約率を抑えることができれば他社に流れるのを防げます。さらに新しい顧客も生み出せられれば事業拡大もできるのです。
解約率ではカスタマーチャーンとレベニューチャーンの2つの指標及びその計算式を使います。
カスタマーチャーンは顧客数と解約率の割合で計算し、式は『計測期間内での解約数÷顧客数』と顧客数が式のベースになります。
一方レベニューチャーンはある期間の中で、収益に対して解約や契約など言った損失の割合を求めます。
こちらの式は『(商品・サービス単価×解約数)÷合計売上』と収益が式のベースです。
ユーザーからサービス・製品の改善点をヒアリングできる
顧客からの商品やサービスに対する要望点を拾い上げることができるのも強みとなります。
実際の生の声を聞きそれをデータとして収集することで、品質のさらなる向上が可能になるのです。
一方的に商品・サービスを押し付けるだけではない、ユーザーファーストである姿勢を見せられるのもカスタマーサクセスの良さと言えます、
また既存顧客が継続できるだけではなく、市場の支持の拡大となり新しい顧客も手に入れるメリットも手に入れることができます。
企業側がただ商品やサービスをアピールするのみではなく、顧客とのコミュニケーションが測れる。ユーザーとしても気持ちを届けられる。
まさにwin-winの関係が築けるのがヒアリングの良さと言えます。
ブランドを好きになる顧客の増加
心理ロイヤルティを上げることで、そのブランドのファンである人を増やすことができます。
心理ロイヤルティとは商品やサービスに対するポジティブな感情のことです。
そのブランドファンであると言う親しみや、思い入れが強いなどが心理ロイヤルティになります。
もし商品やサービスの内容自体が他社のほうが良いとしても、そのブランドへの心理ロイヤルティが高いから、敢えて変えないと言った心理も生まれることも考えられます。
心理ロイヤルティを上げることは、SNSなどでのインフルエンサーが代表的なように、他者が自分のお気に入りを紹介して、新たにブランドを好きになってもらった顧客を獲得するのです。
このように膨大な広告費をかけずに口コミで新しい顧客を呼ぶのが、心理ロイヤルティの効果です。
カスタマーサクセスを導入するデメリット
カスタマーサクセスを導入するデメリットは一言でまとめると時間とコストがかかり、導入まで行き着いたとしても顧客とのズレが生じている場合、成果が予想外に反映されない場合があることです。
カスタマーサクセスでは導入や導入後も長期的な目線や運営が大切となります。
カスタマーサクセス部署・部門の立ち上げに時間・コストが掛かる
カスタマーサクセスを専門に行うセクションを立ち上げたり、さらにそのセクションからの問い合わせの対応も必要など、カスタマーサクセスの基盤を作るのに時間とコストが掛かりがちになります。
さらにカスタマーサクセスでは次の2つのセクションとの連携が重要です。
一つ目がCHS(Customer Health Scoreの省略)と言う、顧客が継続的に商品・サービスを使う予測指標を管理し、顧客の心理変化に素早く対応し解約を防止するためのセクション。
二つ目がVoC(Voice of Customerの省略)と言う、アンケートや電話・メールなど様々な形で集めた顧客の声を、実際の商品・サービス向上に反映させる開発部門。
この2つのセクションによって、カスタマーサクセスが機能するよう体制を整えないといけないので時間とコストが掛かるのです。
人材雇用・育成や他部門との連携が必須
時間とコストを掛けるのに関連しますが、カスタマーサクセスのセクション用に人材を育てないといけません。
オペレーターを面接などで採用し教育や配置の仕方、他のセクションとの協力方法なども必要になります。
さらに顧客の夜間の問い合わせにその時間に対応できるよう、時間を作ってもらったほうが良いかと言う議論も、カスタマーサクセスでは避けて通れないと考えられます。
コストを掛けても成果が出ない可能性がある
さらに時間とコストを掛けても業績に反映されない場合もあります。
もしカスタマーサクセスでのゴール及びアプローチが、実際の顧客心理と違う場合成果としては出にくくなります。
例えば主婦や主夫などが『手荒れが起こりにくい食器用洗剤が欲しい』と言う心理があるのに、企業側が『液漏れが少なくすぐに出せるよう洗剤容器を改良するとユーザーが支持する』と考えたとします。
『リニューアルした容器で喜んでもらいその洗剤を使い続けてもらう』と言うゴールを設定し、洗剤容器を改良するようコストを掛け、「使いやすいよう容器を変えましたよ」と顧客側にアプローチを仕掛けます。
すると顧客から思ったより満足の声が得られなくなり、手荒れが起こりにくい他社の洗剤に替えられるなどで、解約率の低下やLTVの上昇も当然見込めなくなります。
まとめ
カスタマーサクセスの導入で直接ユーザーにSNSなどを使って会社の声を届けたり、要望や改善点をヒアリングしやすくなったりなど、以前よりも双方向が綿密に行えます。顧客生涯価値を提供し続けることに繋がり解約率の低下も可能になるのです。
ですがカスタマーサクセス部門の為の準備、深層心理のズレの防止など課題が多く発生します。
特に経験者がいないとより困難となるでしょう。
ビートレード・パートナーズは営業支援の他、カスタマーサクセスの支援を行っており、カスタマーサクセス導入を検討される際は是非お声がけください。